ブレインマシンインターフェース

注目のテクノロジー

人が考えただけでその通りにマシンが動いたり、キーボードを使わずに思ったことがそのまま入力できたりするなど、人の意志を直接機械に伝えられる技術が「ブレインマシンインターフェース(BMI)」です。また、カメラなど機械のセンサーがキャッチした情報を直接的に脳に入力し、視覚として再生するなど、機械からの情報を脳に伝えるシステムもBMIに分類されます。
今回は、人間の脳と機械とを接続する技術であるブレインマシンインターフェース(BMI)について詳しく解説していきましょう。BMIとはどのようなものか、用途や今後の使い道などをご紹介していきます。

ブレインマシンインターフェース(BMI)とは?

ブレイン(人間の脳)とマシン(機械やコンピュータ)を直接的につなぐ、つまりインターフェースする最先端技術がブレインマシンインターフェース(BMI)です。脳波の検出や脳への刺激により人間の脳と機械を直結させるBMIは、革命的な技術として世界中で期待されています。
一般的には、人の脳内から記録した神経活動によりロボットアームやコンピュータのカーソルなどを動かすことが狭義のBMIと言われています。BMIは脳を理解するニューロサイエンスの研究分野である解剖学や分子生物学、薬理学、生理学、行動学、情報科学がベースとなって進化しつつある技術です。そのベースの上に、脳を活用する研究であるニューロテクノロジーの分野の、リハビリや科学的な脳トレ、エコノミクスなどの研究が重なることで、BMIによる社会貢献が実現すると考えると分かりやすいでしょう。BMIは大きな可能性を秘めている最新技術であり、脳とマシンとをつなぎ通信することは、将来的に一般化すると考えられています。

ブレインマスターインターフェース(BMI)技術の研究

人の脳と機械が直接つながると言えば、まるでSFの世界のような現実味のない話に感じる人は多いでしょう。しかし、BMIの技術は確実に進歩を続けています。
元々BMIの研究は医療の分野で、感覚器官や抹消神経がダメージを受けて視覚・聴覚が失われた患者に対し、物理的な外界情報をカメラやマイクなどを通して人工的に電気信号に変換、脳へ感覚を書き込む刺激を与えるという形で始まりました。運動器官のダメージがある患者、例えば手足の欠損やせき髄損傷などで脳からの運動指令が動作とならない場合、BMI技術によりロボットアームや車いすを動かすという研究も行われてきました。
つまり、脳からの信号を機械に伝える感情の書き込み型と、運動の読み出し型のBMI技術が研究されてきたと言えます。

人と機械の関係性とBMI

技術の進歩により、様々な機械は人が操作しやすく改良が加えられてきました。しかし、機械のパワーやスピード、大きさなど機械の性能が高まれば高まるほど、それだけ人の感覚を超えてしまうという側面もあります。例えば、大型機械などの操作をする場合、操作そのものは簡単になっていたとしても、安全な速度や体勢なのかを人が感覚として受け取りにくい状態になっていると言えるでしょう。もちろん、危険を回避するためのセンサー類を増やして操作する人に情報を与えることは可能です。
しかし、機器類からの情報を理解して判断し操作するにはタイムラグがどうしても生まれてしまいます。機械に人が慣れる、つまり機械に人が使われている状態であれば、事故のリスクは高くなるばかりです。人と機械との関係性を変える存在として期待されている技術がBMIと言えます。

ブレインマシンインターフェース(BMI)の研究成果

現在、BMI技術は研究段階とはいえ、様々な可能性を秘めています。特に、脳にチップを埋め込まずに装置を装着するだけで使える技術に注目が集まっています。
装置を通して脳波や筋電信号などの情報を集めて処理が行われるのがBMI技術であり、読心術のように、人が見ているものや想像したものを復元することも可能です。さらには、遠隔入力のような実用的な技術もすでに研究成果が発表されています。
BMIは交通や工業、衣食住、リハビリなど生活の様々な場面で活用可能な技術として、さらに研究が進む分野と言えるでしょう。

ブレインマシンインターフェース(BMI)に取り組んでいる企業

アメリカのFacebookでは、入力方法にBMIの仕組みを取り入れるシステム開発を行っています。カリフォルニア大学の研究チームと組み、1分間300語の高速入力システムでエラー率が3%に抑えられたと発表しています。米TeslaのCEOであるイーロン・マスク氏はベンチャー企業を立ち上げてBMIのシステム開発を行って話題を呼んでいます。AIが人間を追い抜くなら、人間の能力も拡張すれば良いという考え方が、マスク氏がBMI事業に取り組む理由と言われています。
その他、米・Paradromicsも米国防高等研究計画局からの投資を受けるBMI企業で、アメリカの億万長者であるブライアン・ジョンソン氏もBMIシステム開発を行っています。人が行うコミュニケーションは、BMIの進化によってテレパシーに近いものになっていくと考えられています。今後も、BMI技術は進化し続ける注目の存在です。

今回は注目の最先端技術であるブレインマシンインターフェース(BMI)についてご紹介しました。人の脳とマシンとを直接つなぐ技術は、高度化し複雑化し慣れや感覚が求められる機械操作の分野にも革新をもたらしてくれるでしょう。人が思った通りにストレスフリーで機械が操作できる世界は、もう目の前まで来ているかもしれません。

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