AHRS(姿勢方位基準装置)について知っておくべきことの全て

位置情報技術入門

噂に聞くアマゾンのドローンのように、自動化されたドローンが、どのように飛行場所や速度、あるいは合法的な空域内の物理的な位置を決定しているのだろうかと疑問に思ったことはありませんか?もしあなたの答えが「GPSによって」だとしたら、それは30%くらいは正しいと言えるでしょう。正確にいうと、あなたに必要な答えは、姿勢方位基準装置(Attitude and Heading Reference System):略してAHRSと呼ばれるものなのです。

AHRSは、パイロットが不利な条件を避けるために、より高く飛んだり、降下したり、あるいは機体の尾翼を少し動かしたりするタイミングを知らせるのと同じ技術です。 AHRSが考案される以前は、航空機は機械式ジャイロスコープを使っていましたが、その結果は的外れなものでした。また、30,000ft以上の高度を飛行する場合、その曖昧さは最大の問題でもありました。

 このAHRSは、仮想3軸センサーと3軸磁気センサーに接続された3軸慣性計測ユニットで構成され、物体が3D空間を移動している間にピッチ、方位(ヨー)、ロール角を計測しています。このような小さなシステムであるにもかかわらず、AHRSのコンセプトは、今日の世界で最も大きな技術のいくつかを支えているのです。AHRSの仕組み、そしてどの産業がAHRSに依存しているか、カーソン・ハーバートがビデオで説明していますので、ご覧ください。

AHRSの基本設計

AHRSは、磁力計/フラックスバルブ、3軸ジャイロスコープ、3つの加速度計という3つの独立した機器の組み合わせであり、それぞれには明確な機能があります。

・ 磁力計またはフラックスバルブは、磁場の水平成分を調べるために使用されます。

・ ジャイロスコープは、装置の直線運動(ロール、ヨー、ピッチ軸)の計測を補助します。

・ 加速度計は、縦軸、横軸、垂直軸の3軸を測定することで、航空機の直線運動を測定するために使用されます。

AHRSのコンパクトな設計は、エンジニアが6つのLRU(Line Replaceable Unit)を1つのユニットに置き換えるのに好都合です。このコンパクトな設計によって、車両の重量、設置面積、電力要件、配線が大幅に削減されてしまうのですから。AHRSには、その凝縮された機能以外にも、従来の垂直ジャイロと比較していくつかの利点があります。

1.従来の装置では、航空機のロール角が5~10度という一定の限界を超えると、自動垂直整流が停止し、それによって自由ドリフトが始まって、垂直誤差が発生してしまいます。

一方、AHRSには、速度減衰シューラーチューニング垂直エレクションループが使用されています。これは、小さな垂直カットオフ角を必要としない高度な軍用装備システムで、これによって真のローカル垂直方向での安定した連続性の維持が可能になっています。

1.特定の条件下では、従来のジャイロはジンバルロックを起こしやすく、また加速度や速度のフィードバック機能がないため、ジンバルロックは従来のジャイロの最も有名な問題となっています。

一方でAHRSでは、地球上の航空機の機体軸を測定し、別々の座標参照フレームでデータを自動飛行制御システムに供給するため、そのような煩わしさがありません。

AHRSボックスの主要コンポーネント

AHRSの主要コンポーネントはAHRU(姿勢方位基準ユニット)で、これは、加速度力、変化率、航空機の姿勢、磁気方位を測定するために不可欠なレートジャイロ、加速度計、電源、その他のツールを含んだボックスになっています。

AHRUにはアナログとデジタルの2種類があり、それぞれ必要に応じて異なる産業で使用されています。

AHRSの効率を向上させるために、タセンサーと組み合わせることもあり、重量、配線、スペース要件が改善されています。

AHRSとIMU(慣性計測ユニット)の違いは何でしょうか?それは主に、AHRSには姿勢と方位情報を追跡するために特別に設計されたオンボード処理システムが含まれているということで、これは、IMUが依存する中間マージンをカットする優れたビルド品質を持っているということになります。 AHRSが姿勢と方位データのための専用オンボードシステムを持っているのに対し、IMUはただセンサーデータを姿勢と方位を計算する追加デバイスに送るだけなのです。

AHRSに依存している産業

AHRS技術を利用している主な産業には、次のようなものがあります:

・  製造ロボット

・   農業測量

・  水中ナビゲーション

・  ドローンのローカライゼーションなど。 

AHRSにはいくつかの方法があり、あらゆる産業で使用されていますが、最も一般的な利用方法のトップ3は次の通りです:

1.       時間の関数としてのプラットフォームの方向として使用することにより、飛行データを考える記録計器としての使用。

   2. 角速度出力を制御ループと直接結びつけることで、プラットフォームの安定化を作り、維持するための使用。

     3. そして姿勢制御システムとしての使用。

 以前は、AHRSは軍用機や公共機にしか使われていませんでしたが、技術の進歩に伴って、その価格はこの数年でかなりのレベルにまで下がってきています。

今ではヘリコプター、航空機、飛行船、クワッドローター、ロボット車両では、AHRSを使用して閉ループ姿勢制御システムが構築されています。

AHRSのサイズはその用途やメーカーによって異なり、最近ではコインサイズのものまであります。イナーシャルセンス社のAHRSでは、MEMsジャイロ、加速度計、地磁気計、気圧計が一体化され、IMUの全機能を搭載しながら最適な推定が行われます。

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