AMR(自律型協働ロボット)とAGVの違いについて解説します

ロボティクス

物流の現場では自動化システムのAMRを導入するところが増えています。そもそもAMRとは何か、AGVとは何が違うのか詳しく知らない方も多いでしょう。また、AMRの導入に必要性はあるのかという点も気になっている方もいるはずです。
そこで今回はAMRの意味や用途、AGVとの違いについて詳しく解説しているので、理解を深めたい方や導入を考えている方はぜひご参考ください。

1. AMRとはどんな自動化システム?

AMRは「Autonomous Mobile Robot」を省略した言葉で、日本語では自律型協働ロボットを意味します。
AMRの特徴は、人と力を合わせて働くことを目的に設計されている点です。ロボットにはタブレットなどが搭載されており、人間の指示で工場内を自由に動くという特徴があります。AMRには周辺検知やQRコードの読み取りなどの機能が搭載されており、工場内を歩く人や障害物などもしっかり避けながら、目的の場所まで自由に移動できるように設計されています。

2. AMRの用途と導入の重要性

AMRは具体的にどのような業務で活用されるのか、また導入の重要性について解説していきます。

協働での運搬業務

AMRが活躍する場面は現場内での運搬業務です。部品や商品などを載せる作業は人の手で行われますが、目的地までの運搬はAMRが自動的に行ってくれます。今まで人の手で行っていた運搬作業を自動化することで、業務効率化や作業者の負担軽減につなげられます。

作業人員の削減にもなる

運搬業務の自動化により作業者の負担が軽減されれば、現場に配置される人員を減らすことが可能です。実際、作業者の数を半分に減らした現場の事例があります。
逆に人の手が必要となる業務・作業に集中して人員を配置すれば、生産性を高めることにもつながるでしょう。なかなか作業者を確保できない現場でも、運搬を自動化できるAMRの導入はメリットが大きいと言えます。

3. AMRとAGVの違い

AMRは、次世代のAGVとも言われています。AGVもAMRと同じく工場内で運搬を自動化するために導入されるロボットです。では、双方にはどのような違いがあるのか解説していきましょう。

AGVとは

そもそもAGVは、部品や商品などを積み込んで目的地まで自動的に移動するロボットであり、無人運搬車とも呼ばれています。今まではコンベヤーやフォークリフトでの運搬が一般的で人の手が必要でしたが、AGVの登場により運搬の効率が良くなりました。

2つのロボットの違いは現場での導入

自動的に指定された場所へ移動するというアクションは、AGVもAMRも一緒です。しかし、2つのロボットの大きな違いは、現場の導入になります。
AGVは磁気テープなどを使って誘導走行させているので、固定されたルートでしか運搬ができません。しかも、人や障害物に対しては停止という形で対応します。そのため、導入する前に要件の定義やレイアウト設計などをしっかり行うことが重要なポイントとなり、工数がかかりやすいです。
一方、AMRは磁気テープが必要なく、自動的に人や障害物を避けながら移動できるロボットとなっています。センサなどから得た情報から自己位置を推定しており、現場全体を一周させてマッピングするだけで導入できるという点がAGVとの大きな違いです。ガイドレスでの走行となるため目的地の変更もAGVと比べて容易に行え、フレキシブルに対応できるロボットとなっています。

4. AMR導入における注意点

これからAMRを導入するのであれば、注意しておきたいことが2点ほどあります。

運用方法をしっかり定めて導入すること

AGVは特定の地点から指定された地点までものを運ぶロボットに対して、AMRは作業者と作業を補完し合うという点が大切なポイントとなります。現場設計は容易ではあるものの、あらかじめ運用方法をしっかり決めておかないとAMR導入のメリットを感じにくくなってしまうので注意してください。

運行管理が重要となる

現場では複数のAMRを運行することも多いですが、そこで問題となるのは運行管理の難しさです。導入台数が増えていくとAMR同士の交点も増えていきます。回避機能があるとは言え、ぶつかってしまったり、渋滞が起きたりする可能性もあるでしょう。
また、繊細なものや大きなものを運ぶ時は微調整が必要です。万が一に荷物が倒れてしまえば運んでいるものの破損や事故、AMR自体の故障など大きな損害につながるでしょう。
このような危険を防ぐためには、倉庫管理システム(WMS)や倉庫抑制システム(WCS)などと連携を取り、各AMRの走行先や経路、運搬しているものの情報を管理し、適切に指示を出していく必要があります。

今回は次世代のAGVと注目されるAMRについてご紹介しました。
フレキシブルな対応ができるAMRは、物流倉庫などの現場での業務効率化や生産性の向上に期待できるロボットです。AGVだけでは対応できなかった部分にAMRを導入することで運搬の負担を大幅に軽減できるでしょう。今までピッキング作業や運搬に人手を割いていたという現場も、AMRの導入により改善される可能性もあります。現場設計や運用ルールはしっかり確立させ、事故を起こさないように運行管理も適切に行いながらAMRを上手く活用してみてください。

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